「なのにあなたは京都に行くの」、の巻(鳥獣戯画展編 下)

 ところてん式に鳥獣戯画展示会場である博物館本館から押し出され
た後、まだ十分時間があった。新館で開かれていた「京へのいざない」
展へ再度行くことにした。

 「京へのいざない」展は展示替えされていた。サッカーの試合で後半
以降、選手交代があるが如きである。
 肖像画コーナーには、あの大スター源頼朝はもういなかった。代わり
に豊臣秀吉の肖像画があった。よく見かける、あのちょっと貧相な(失
礼!)顔のである。周囲には頼朝ほど人だかりはなかった。
 やはり人相的に貧相な秀吉より、クールで怜悧そうだが気品あり気な
頼朝の方に人気があるのだろうか。

 水墨画コーナーには前回見た、雪舟の山水画等はもうなかった。代わ
りに狩野永徳筆の立派な襖絵があり、自分の好きないろんな鳥が描か
れていた。
 こういう大きな襖絵もいいな、と思った。
 でも、自分の部屋にこういうリアルな絵があると仮定する。
 夜中にトイレに行きたくなって暗い中目が覚めると、薄明かりの中リア
ルに描かれた大きなサギやツルが目に飛び込んでくるのはいかにもド
キッとしないだろうか?
 最近、部屋の中の物の影や外から入る明かりが何かの形のように目
に映り、ギクッとすることがある。ひょっとしてこの部屋は事故物件だっ
たのではないか?と感じるほどなのだ。
 それを考えると、昼間見るのは良いが夜中にはどうだろう、とも思う。

 展示館を出ると外はすでに暗かった。もう秋である。日が暮れるのも
早くなった。JR京都駅まで歩く。
 京都駅に着いたのは午後6時前。帰宅時のラッシュアワーがそろそろ
始まる頃だった。各ホームを結ぶ構内の連絡通路は、家路を急ぐ人た
ちでごった返していた。
 大きな駅の構内で雑踏を歩くのも久しぶりだな、とふと思った。


 (以上)

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